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【1】ギニアの国境情勢
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◆ギニア軍機の攻撃
BBC放送によれば1月21日、ギニア軍のジェット機がシエラレオネ領のヱリ
ボヤ(Yeliboya)を攻撃。詳細は不明。
シエラレオネの新聞は、この爆撃で民間人に17人の死亡者が出たが、反政府勢
力RUFにはまったく被害が及んでいなかったと伝えています。
◆国境での戦闘つづく
BBCは1月23日、ゲケドゥ地区で、ギニア軍と、リベリア、シエラレオネか
ら来たギニアの反政府勢力とその傭兵たちとの戦闘があったらしいと伝えまし
た。
この地帯は、リベリアのロファ州とギニアのゲケドゥ県、そしてシエラレオネ
とが接しています。信じられる情報によれば、現地のギニア軍は、この一帯を
遊弋しているシエラレオネの伝統的狩猟者集団(Kamajors)と、リベリアの前大
統領候補(現在は米国アトランタ在住)が残していったリベリア内戦時代の戦闘
集団(ULIMO)を雇って、前線に立てているといわれます。彼らはゲリラ戦の経
験が豊富なため、実戦経験のきわめて貧弱なギニア軍にとっては、貴重な傭兵
部隊となっているようです。
これに対して、ギニア領の外に基地を持つと思われる「ギニア反政府勢力」は、
ブルキナファソの戦闘員、リベリアのテイラー大統領の私兵部隊、シエラレオ
ネの叛乱勢力RUF等を使って、ギニア軍を攻めていると考えられています。
◆3カ国トライアングル地帯での攻防
リベリアの防衛大臣は1月25日、ギニア軍がリベリアの北部ロファ地区への攻
撃を続けるのであれば、それを止めるためのしかるべき措置をとるとして、ギ
ニアを非難。
リベリア駐在のギニア大使は、同日に声明を発表してこの事実を否定。
3カ国の国境を挟むこの地帯のギニア側には、巨大な難民キャンプ群が存在し
ています。一時この場所を離れながらも、戦闘は終結したと考えて、再び戻っ
てきた難民の数も少なくないと伝えられています。正確な情報は出てこないも
のの、この地帯で再燃した戦闘は熾烈を極めていると推定されており、多くの
難民は、この戦場に封じ込められた状態となっています。
◆ギニア軍の空爆についてのコメント
シエラレオネ駐在のギニア大使は1月26日、ロイター通信に対して、「シエラ
レオネ・カンビア地区への空爆は、あくまで、シエラレオネとギニアの安定を
脅かしている叛乱勢力掃討のために行ったものであり、もし住民に被害を及ぼ
しているとしたら申しわけのないことである」と語りました。
◆国連難民高等弁務官事務所の弁明(見捨てられた難民について)
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のギニア事務所のスポークスマンは、英国
のBBC放送に対して1月24日コナクリで、頻繁に激しい戦闘状況が発生して
いるリベリア、ギニア、シエラレオネのトライアングル地帯は、「世界で最も
危険な場所」であると断定。そのために、職員のすべてを引き揚げていて、こ
の地帯に閉じ込められた形の難民25万人(40万人という数字を口にすることも
あるのですが)に対しては、この4カ月間、食料の支給をまったく行っていな
いと説明し、不幸な状況だが為す術がない、と付け加えています。
=2000.9月以降の攻撃状況=
◇9月1日 Massadou(マサンタ県) 48人死亡
◇9月4日 Madina Woula(キンディア県)
◇9月6日 Pamelap(フォレカリア県)
◇9月10日 Kolakhoure(キンディア県)(ギニア軍兵士40人行方不明)
◇9月17日 Macenta(マサンタ県) 54人死亡(35人?)
◇9月30日 Koyama(マサンタ県) 67人死亡
◇9月30日 Farmoriah(フォレカリア県) 10人死亡
◇10月2日 Koyama(マサンタ県) 3人死亡
◇10月6日 シエラレオネ叛乱勢力123人を拘束(フォレカリア県)
◇10月16日 リベリア側のヘリコプターによる攻撃(マサンタ県)
◇10月27日 -28日 Bandaro(マサンタ県)
◇10月31日 -11/2にかけて、ギニア軍機がシエラレオネ・カンビア
地区を攻撃(フォレカリア県に隣接する地域)
◇11月13日 Yagouya,Sabouia(キンディア県、マムー県)
◇11月28日 Gbayaro(マサンタ県) 6人死亡
Bayaro(ゲケドゥ県) 3人死亡
◇12月4日 -6日
Tomandou,Seredoundou(マサンタ県)
Kotizu,Gbayaro(マサンタ県)
Yende(キシドゥグ県)
Guekedou(ゲケドゥ県)
◇12月10日 Yende(キシドゥグ県)
◇12月12日 Madina Woula(キンディア県)
Kunte,Yomadu(キシドゥグ県) 12月だけで900人以上死亡?
2001.
◇1月4日 -6日にかけて、ギニア軍機がシエラレオネ・カンビア
地区を爆撃。家屋25戸が焼失。
◇1月13日 -15日 双方で計100人程度死亡
Tekoulo,Wekama(ゲケドゥ県)
◇1月21日 ギニア軍機がシエラレオネ・カンビア地区を爆撃。
◇1月23日 Guekedou(ゲケドゥ県)
*攻撃状況は、非公式な情報等をもとにしてまとめたものです。
(異同があるかもしれません)
*被害者総数についてはまったく把握できません。
ギニア外務省にもまともな数字は存在せず。
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【2】リベリアを取り巻く動き
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◆シエラレオネ叛乱勢力の追放
リベリア政府は1月12日、シエラレオネ叛乱勢力RUFの現地指揮官・通称モ
スキートを国外へ送り出した、と過去形で発表したものの、当のモスキートは
マスコミと接触して、第三国が受け入れてくれることを望んでいるとか、ここ
で大きなビジネスを始めているためにリベリアを離れることはできないなどと
語り、現時点までリベリアにとどまっている事が確認されています。シエラレ
オネに戻れば、法廷に立たされることは確実であり、また死人の血を吸うとい
われている通称モスキートを受け入れる第三国もあり得ず、リベリアを離れる
ことは難しそうです。近隣諸国の平安のためには、彼が、親父と慕っているテ
イラー大統領の庇護を受け続けることが一番なのでしょう。
◆ギニア駐在リベリア大使召還
リベリア政府は1月17日、ギニア駐在の大使を召還する旨の声明を発表。これ
は次の理由によるとしています。
1)ギニアを基地とするリベリア反政府勢力が1999年、2000年に行った、リ
ベリアのロファ地区等への攻撃を、ギニア政府が容認していたこと。
2)昨年9月、コナクリのリベリア大使公邸のリベリア国旗をギニア兵士が
焼いたこと。
3)リベリアの外交官2人を逮捕し、拷問を加えたこと。
4)リベリア内戦時代の戦闘員を、ギニア軍が傭兵として使っていること。
5)1月12-3日に、ギニア兵がリベリアのロファ地区を攻撃したこと。
これに対してギニア政府は1月24日、国営放送を通じて声明を発表し、度重な
るギニア領土への攻撃はすべてリベリア政府が画策しているものであるとして、
リベリア政府を非難。
◆米国の提案
米国は1月18日、リベリアに対する国連の制裁措置として、ダイヤモンドと木
材の輸出及びリベリア大統領と政府高官の海外渡航を全面的に禁止する決議を
するよう意見書を提出。これには、リベリア籍の航空機の飛行禁止も含むもの
としています。
その背後には、リベリアが関係するすべてのダイヤモンド原石の取引停止を呼
びかけている英国の強い意志が働いています。
◆リベリア政府の制裁回避努力
リベリアの外務大臣は1月24日、ダイヤモンド取引に関する国連のモニターを
受け入れ、テイラー大統領個人の資産状況を公表してもいいと表明。
また大統領自身は、不法な取引で私腹を肥やしていることが国連によって証明
されたら、大統領を辞任するとも言い切っています。
◆国連安保理の協議開始
リベリアのダイヤモンドと兵器の不正取引に関連する国連安保理の制裁決議を
検討する会議が1月25日に始まりました。英国は、「この提案はあまりに遅す
ぎた」として、すみやかな決定を求めました。
◆フランス、中国の意向
1月26、27日のラジオ・フランス(RFI)によれば、フランス、中国は、リベリ
アに対する制裁措置を支持しない意向を表明している模様。
リベリアの木材伐採、輸出は、テイラー大統領の弟と組んだマレーシア、イン
ドネシア資本の会社がすべてをとりしきっていて、その4割はフランスのナン
ト港へ、2割がイタリアへと運ばれています。チーク、マホガニーを主体とす
る熱帯材は、象牙海岸の森林がすべて極東と欧州の市場へ運び去られてしまっ
た現在では、他所では得がたい貴重品となっているようです。また、森林伐採
のために整備された道路を使って、密輸兵器の輸送が行われている現実もあり
ます。さらには、ギニアの森林地帯からも、大量の木材がリベリアあるいは象
牙海岸経由(陸送距離が大幅に短縮できるため)で、欧州方面へ運び出されてい
るという信頼できる情報があります。
リベリアからの木材にからむ利権を守ろうとしているフランスを中心とするグ
ループと、シエラレオネを基点として全世界のダイヤモンド利権をより完全に
支配したいと願う英米グループとの利害が、国連の舞台でしのぎを削っていま
す。
中国は、リベリアが、台湾を承認しているアフリカ8カ国に含まれていること
から、中台の外交戦の主戦場となっているアフリカでは、制裁に関する討議以
前に旗色をはっきりさせて、リベリアの歓心を買うための支援表明をせざるを
得ないものと考えられます。
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【3】シエラレオネの動き
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◆「不法な」原石の買取業者逮捕を指示
シエラレオネの鉱山資源大臣は1月12日、反政府勢力RUFが持ちこんだダイ
ヤモンド原石を買い取っている原石業者を逮捕するよう指示したと語りました。
これはニューヨークタイムズ紙が、ケネマ市の原石買取業者へのインタビュー
記事の中で業者の名前を掲げて、反政府勢力RUFが採取した原石を日常的に
買い取っている可能性を示唆したことを受けた動き。
ニューヨークタイムズ紙の記事:
http://www.nytimes.com/2001/01/02/world/02DIAM.html
これについてギニアの業界関係者は、記事の内容は誰でも知っていることでは
あるものの、海外紙による「告発」を受けたため、政府としての体面を繕うた
めに大臣があえて茶番を演じているとみているようです。
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【4】追って書き
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◆民間の新聞に国の補助金
ギニア政府は1月18日、ギニアの新聞の民間団体に対して、3億ギニアフラン
(2千万円弱相当)の補助金を交付することを発表。新聞団体は、政府の好意に
対して感謝の意を表明。
ギニアでは、およそ10紙が週刊紙として定期的に発行されています。発行部数
の一番多い新聞で、印刷部数が10,000部弱。1部売りの料金は0.5$相当。今回
の補助金の価値は、日本であれば1-2億円程度と読み替えることが可能です
ので、ギニア政府はかなりの「抑止効果」を期待しているものと思われます。
◆広辞苑の中のコナクリ
ところで、なにげなく広辞苑(CD-ROM版)で、「コナクリ」を検索してみ
ました。 そして、びっくり。広辞苑の説明によれば、私めは現在沖合いの島
に住んでいることになっているようです。
コナクリ【Conakry】
アフリカ西部、ギニア共和国の首都。大西洋岸沖合の島にある港湾都市。
人口65万1千(1983)。 (『広辞苑』第五版)
コナクリ市の一部の、カルーム(Kaloum.その片隅に私めは仮住まいしておりま
す)という地名で呼ばれている行政の中心地区は、昔は小さな島(カルーム島)
でした。「アフリカ大陸」から100メートルほど隔たっていて、フランスが植
民地支配を始めた1800年代後半にその間の浅瀬を埋めたてて陸続きにしていま
す。島と大陸との間がわずかに離れていたことは確かなのですが、それは現在
生きている人間は誰も見たことがない時代のお話です。そこで、どのような文
献を引用すると広辞苑のこの解説が出てくるものなのか、興味津々です。ある
いは執筆者は、植民地時代以前の貴重な古文書でもご覧になったのではないの
かと...。
(2001/1/28 原稿作成)
齊藤 清 プロフィール:
1948年生まれ。ギニア・コナクリ鉱山大学中退。
1973-1975年の間、トランスギニア鉄道計画の測量調査作業に従事。
現在は西アフリカ・ギニア共和国にて金採掘会社に関与。山師。
剣道初段。弓道初段。表千家流茶道を少々。
以前の関連記事:
WR0383 ダイヤモンドよ永遠に −ギニアのアントワープとも呼ばれる首都コナクリの一角の、とあるカフェの片隅でひろいあげた、ダイヤモンド原石商人たちの業界情報。「永遠の輝き」が生み出される前のプリミティブな世界の動きのダイジェスト版;特別企画「DIAMOND IS FOREVER」(2000/3/6)
『金鉱山からのたより』:「まぐまぐ」http://www.mag2.com/misc/wmag2reg.htm
−マガジンID:0000005790−
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